冬支度・冷たい空気の中で

日本から戻って急ぎの仕事だけババッとやったあと、数日だけ北の職場&コテージに行ってきた。私が不在の間運動不足になった犬のロウニンを広い場所で走らせるため、そして、シーズンを終えた野菜栽培の片付けや落ち葉掃除のためだ。


こちらの庭は広いから、芝刈りはもちろん、落葉掃除も半端ない。だから芝刈り機や何かしらのマシンを使っての作業になる。私も一人で来て一人で作業するうちに、こんなカナダの庭の手入れに慣れてきた。

秋の作業は、、、エンジン付きの芝刈り機に乗っかって、芝を刈ると同時に、芝を掃き出す風を使って落葉も一緒に吹き飛ばす。庭の端にうまく集めるために、吹き出し口の方向を考えながら、庭の真ん中から運転開始。


それでも細かい場所はどうしても手作業になるので、レイカー(raker=熊手)で掻き集める。実はこのレイク作業で結構腕と背中が筋肉痛になる。(バカボンのレレレのおじさんはずっと掃き掃除していて、実はマッチョだったかも!?

ところで、集めるのに苦労する落葉も、畑をやっている人にとってはよい土壌の素。環境意識が高い町なら、町で集めてまとめてコンポスト作業しているところもあるものね。

私も来春向けの腐葉土を作ろうと、庭の隅に落ち葉を集めた。落葉が飛び散るのを防ぐのと少し空気を循環させるため、落ちた枝も混ぜ込んで、、、。


ここに微生物を含んだ有機肥料を撒いておいて、あとは冬の間微生物に働いてもらう!ここは雪解け水が最後まで残る窪みだから、その水分・湿気を逆手に取って。

ちなみに下記写真は、去年仕込んで今年の春使った腐葉土。このしっとり・ジメジメ感、そして枝にはびこるカビのような菌を見てうっとり。(←すっかり農作業にはまってる(笑))



菌による発酵・熟成の恩恵を受けるという意味では、日本酒やぬか漬け、味噌の仕込みと同じようなもの。生物の生命を活性化する菌たちには本当に感服。

そんな腐葉土や有機肥料のせいか、私が世話していた野菜のうち、なんとセロリやケール、アルグラ(ルッコラ)や水菜ははまだ元気だ。すでに一度雪がちらつき、最近の朝晩の気温も0℃近くなのだが。

元気なルッコラと水菜

ハーブ系が強いのはわかるが、葉モノ野菜がこの気温の中生きていて、さらに瑞々しくシャキッとしているなんて!寒さに強い野菜の種類なんだろうけど、土の中の根が元気だからこそだろうな。予期せぬ収穫はとても嬉しかった。


しっかりと根を張っていて、掘り出すのに結構苦労したセロリ

葉っぱもワサワサ。ジュースにスープにいろいろ使える!

そうそう、日本を出る前も、父が庭で冬支度をやっていたので少し手伝った。雪国ゆえ植木を竹や藁で覆う「雪囲い」あるいは「冬囲い」が定例作業。


囲った植木の根元に小さな鉢を並べる。これで雪から守られる。小さい時からやっていたから何だか懐かしかったな。



日本の晩秋を彩る菊

そういやカナダで雪囲いを見たことないな。同じように雪が降るのに。雪というよりすべて凍り付いてしまうから、そんな気を遣う植木はそもそも持たないのかも?(笑)だいたい庭先にあるのは、放置OKの針葉樹ばかりだもんね。

ところで、カナダ・アメリカは先週末に冬時間に突入し、私の居るエリアの日の入りは午後4時台に。外作業出来る時間がどんどん短くなるので、とにかくデスクワークは夜に回して、日中出来るだけ外へ。

葉が落ちて木々が長~い影を作り始めた。

日中といってもすでに5℃以下。動いていても、手や耳はじわ~っとかじかんでくる。


それでも私は外の作業が好きだな。枯葉と雑草と土の混ざった匂い。カサカサの落ち葉を踏む音。遠くから漂う焚火の匂い。わずかな陽の温かみ。子どもの頃から親しんでいる冬直前の冷たい空気。


冬に向かう物悲しい季節でありながら、静かな興奮があるのはなぜだろう?どんな季節でも自然の中にいると、そして直接自然に手を触れると、いいエネルギーがもらえるのかもしれない。

さてさて、今日明日は真冬並みの寒波で、北の職場付近は雪が降ることはもちろん、明け方マイナス11℃にもなり、明日は「最高」がマイナス6℃!いよいよ1年の半分に渡る、カナダの長く厳しい冬の始まりだ。


朝の庭。芝や草に霜がおりて半分凍っている。

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