ナガネンノユメカナウ?(2) ~3つのデビューと新しい扉~

(前回からの続き)

さあ、私の<酵母・パン・オーブン>の3つのデビューがかかった挑戦、まずは約2週間前の酵母起こしからスタート!
  
1)天然酵母起こしデビュー!

天然酵母は、自然の果物や草などに付着しているものを自然発酵によって増殖させて取り出す。材料はシンプルで、無農薬果物(今回はリンゴ)、浄水、糖分(今回ははちみつ)だけ。


まず冷蔵庫で3日冷やし、あとは常温で5、6日ほど、時々空気を入れながら炭酸とアルコールが出てくるのを待つ。シュワシュワ~となったら酵母菌がマックスに増殖したサインでパン作りに最適な菌。(参考本:ウエダ家「酵母ごはん」
 
シュワシュワしてきたところ。この液体に酵母菌がたくさん!

これだけ聞くと簡単そうだが、なんせ相手は目に見えない菌。いちいち道具の煮沸消毒や作業タイミングに気を遣う。数カ月前に失敗したため、今回は慎重に。

とのつもりが、なんと日数を数え違え、一回冷蔵庫から出して時間が経ったものをまた戻すという暴挙に。もったいないからそのまま続行、繊細な菌相手にかなり強引。(笑)

経過は、、、イレギュラーなことをしたせいか、炭酸が強くない。でも6日目を迎えたのでギャンブル的にパン作りに着手!


2)手作りパンデビュー!

いきなりパンを焼くわけでなく、まずはパンの元種作りというのをやる。酵母液と強力粉を少量ずつ混ぜて、一晩置き軽く発酵。それを継ぎ足して3回繰り返す。

以前ならこんな手の込んだこと、ぜっ~たい敬遠してた!

ところが、2日目の朝、粉と水分が分離、かつ、酸っぱい異臭もしてきた。だから自分なりに室温に放置したりして勝手にインターバルを変更。(いいのかそれで!?)

結果、レシピ写真とはほど遠いが、ゆるゆるの元種が一応完成。




「これ、発酵してるのかな?」「変な菌が増殖しててお腹壊さないか?」との考えがよぎるが、とにかく一通りやってみたくてパン生地過程へ移行。

材料は、元種とその倍ほどの強力粉、水、キビ砂糖と塩。これだけ。


全部混ぜて手で捏ねること10分。思ったより弾力があって、伸ばすのに力がいる。でも、これが何だか粘土遊びかうどん屋さんの麺打ちみたいで楽しい!


捏ねたあとは、丸めて一次発酵。天然酵母ならあえてじーっくり時間をかけるのが良いらしく、室温で6時間放置。


途中、かぶせていたラップが曇って生地の表面からプツプツと穴が出来始めた時は、やった~っと思った。だってそれは菌が生きて活動している証拠だもんね。


しかし、思ったより膨らまない。ほんの1.2倍くらい。しかも、二次発酵前にもう一度捏ねたら元の大きさに戻っちゃった!発酵の意味ないじゃん!

そうそう、菌は低温すぎると膨らまないとのこと、その日気温は20℃以下とかなり涼しかったので、「そうか!温めないと!」と、ちょうど予熱試験をしていた「かすかに暖かい程度」のオーブンの扉の上にちょっとだけ生地をおいてみた。

ところが、たかが数分なのに思ったより熱があり、生地が「でろ~ん」となってしまった!しまったあああ。それまで何度かの危機を強引に乗り越えてきたが、さすがにこの時はもう終わりと思った。

しかし。どうせやめるなら放置して様子をみよう。ダメになっていく過程もまた勉強。

その後、生地は「でろ~ん」の形のまま固まりはじめ、結局元の柔らかさに戻っていった。ある意味すごい!形状記憶があるみたいだ!これも菌の成せる業なのか?

従っていたレシピによると、この時点で焼き方に入るのだが、別なレシピを見たら、生地を一晩冷蔵庫で寝かせている。

急にそっちの方がいいような浮気心が湧いてレシピをスイッチ。(いいのかそれで!?)何となく寝ている間にマジックが起きてくれるような気がして、、、。

翌朝―。ほんのちょっとだけ膨らんでいる生地を見て菌の生存は確認するも、レシピ写真のようにふっくら膨張していない。酸味臭も強まっている。くう、マジックは起こらなかったか。そしてまたハタと気づいた。

私は今、普段パンを買う時に、白小麦を避けて極力全粒粉パン等のヘルシーなものを選んでいる。だから、今回のパン生地も、何も迷わず全粒粉100%の強力粉で作っていたのだ。

いまさらだけど、、、全粒粉は堅い繊維が含まれるから、やや膨らみにくく、初心者にはハードルが高いらしい、、、。時すでに遅し。

こうなったら、もはや怖いものみたさで楽しんでいる自分。続けちゃえ!と、もう一度ガス抜きして成型、ベンチタイムを経ていよいよ焼く段階へ。


)ガス・オーブンデビュー!

悲劇はまだ続く。

実は作業していたコテージのオーブンは、ディスプレイ部分が半分壊れていて、オーブン内の温度がうまく表示されない。

そんなんでよく初パンを焼こうと思ったものだが、それ自体は知っていたので、友人のアドヴァイスを元に、庫内で使える温度計をあらかじめ用意。


が、さあ焼くぞという時に新たに発見したのは、、、、あれっ、温度を上下するボタンがない!

そう、温度計で現在の温度は把握できてもコントロールが出来ないのだ!モードボタンの組合せで操作するのだろうけど、なんせまともに表示されないからわからない。

適当にボタンを押しまくって、一応180℃にはなった。本当なら予熱に250℃、本焼きで200℃なければならない。操作を知ってるであろうボスの奥さんは旅行中で聞けず、、、。

うーむ、20℃の差、、、しかたない、目をつむろう!てか、もう選択の余地ないし!

と何度目かの続行の決断をし、次に気づいたのは、、、あっ、オーブン・トレイに敷くパーチメント・ペーパーがない!

引き出しにあると思っていたものは、何とサンドウィッチなどを包むワックス・ペーパーだった!わー、確認不足!

急いでネットで調べると、アルミホイルかトレイに薄く油を敷いてもOKだと言う。ほっ、ならば油を敷こう。このトラブルも何とかクリア。

しかし、これでもかと手こずる工程に、もうこの時点では、一体どんな失敗の仕方をするかを見るためだけに続けていた、、、。

いよいよ焼き始めること5分。ふわ~んと膨らまないのは覚悟していたが、表面はいい色になってきた。適当に入れたクープ(切り込み)は徐々に消えていったけど。(笑)


10分。表面が乾いて見えたので、何となく上に卵の黄身を塗って、少しでも美味しそうに見せたくなった。この期に及んで往生際が悪いけど、つい欲が、、、。

しかし、次の瞬間、つい10分前に最後の卵を目玉焼きで食べたことを思い出す。そもそも黄身を塗るハケだってないし。ああ、踏んだり蹴ったり。

思い付きで適当にオリーブオイルを垂らしてみたが、どうなることやら、、、。

それでも、時々オーブンの中を覗きながら焼けていくパンを見ていたら、、、何だかすごく嬉しくなってきた。

「わお!私、ついにパンを焼いているぞ!」って。子どもの頃夢見たことを、私は今まさに実行しているのだ!

トータル20分焼いて、じゃじゃーん、これが人生初の手作りパン完成版!


実は、、、パーチメントペーパーがなく油を敷いたが、結局底が焦げてしまい、トレイからパンをひんむくのに苦労した。だから写真では見えないけど実は底がボロボロ。(泣)

だけど、他にも相当いい加減なことをした割には、悪くないんじゃ?(←自己満足)一応中まで火は通ってかすかに膨らんでいる。

ひとつだけレーズン入れてみた。

一口食べてみると、、、焼く前にあった酸味はほぼ消えて、全粒粉の香ばしさがちゃんとある。意外にまろやかに感じるのは天然酵母のせい?
  
全粒粉のせいか、ややボソッとしているけど、これがまさに私の好みなのだ♪

これにはナッツ・フルーツ系のバターが合う。サンフラワーシードバター、アーモンドバター、アップルバターで試食。

中を確認したから無残になったパンだけど、美味しかったよ!
  
こうして、決して上出来とは言えないけれど、私は<酵母・パン・オーブン>の3つの同時デビューを果たした。一応、目的だった天然酵母は60%くらい作用したんじゃないかな?

しかし、出来よりも何よりも、その過程において、忘れていたトキメキを思い出したような、あるいは新しく惹かれるものに出会ったような興奮があり、久々に胸躍る1日を過ごしたことが、私には大きかった。

なんだ、こんなに楽しいことならもっと早くやってみればよかった!パン焼きだけなら、天然酵母でなくとも、フツーのドライイーストでだってできたはずなのに。

でも3つのデビューが重なったからこそ、この即興的イベントが面白かったんだろうな。

そして、長年の宿題をようやく果たしたような充実感―。

小さい頃にたまごパンに端を発した「パン屋になりたい!」という夢。パン屋ではないが、自分でパンを焼くという意味では、長年の夢が叶った日になる。

いったん流れを体験してみると、あとは改善&発展&応用していく楽しさが広がるばかり。何かをマスターしていくこの過程が楽しいのだ。

だから、長年の夢が叶った日は、同時に、新たな楽しみの扉が開いた日にもなった。

大げさかもしれないけど、、、この3つのデビューは、単にパンの話だけでない、何かを象徴しているような感じもあった。

私がこれまで避けてきたこと=あえてこうしてわざわざ手をかけるようなことをすることで、自分がちょっと進化したような、別な域に入り始めたような?

って、たかだか1回パンを焼いたくらいで大きく出すぎ?今までサボってただけだろって?(笑)

でも、パン以外にも、私が最近興味をもって手掛けた、味噌やぬか漬けという発酵モノには、菌という繊細なものを手をかけて熟成させる=気と期が満ちるのをじっくり待つ、という共通点がある。

これこそ、これまで猪突猛進で人生突っ走ってきた私に無い気質だったのだ。
 
今年はぬか漬けデビューも果たした!

ということで、今回のパン焼きは、私の中で予期せずブレイクスルー的なイベントとなった。前回書いた「ライオンズ・ゲート」じゃないけれど、まさに新しい扉が開いたような、、、。

さて、この週末は早速パンレシピをチェックしたり、キッチンツールの店に行ってパン作りの道具を物色しよう。なんだかワクワクしちゃうな!

これにて記念すべき第1回目の体験談終わり!近いうちにぜひ2回目を実行したい。


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おまけ:パン焼きのあとで、石井ゆかりさんの牡羊座占いを読んだら、、、。

牡羊座:88日はラッキーデー、「思いがけず長年の夢が叶う気配」だって!キタ――(゚∀゚)――!!

そりゃ出来過ぎだろ!って思うけど、ホントにそう書いてあってビックリ。仕事の都合や酵母の発酵具合で、たまたま作業がこの日になっただけなのに!

しかも!この日はいつも行く日系スーパーの抽選で、米15kgが当たるという幸運も。キタ――(゚∀゚)――!! キタ――(゚∀゚)――!!

こういうハッピーな日もあれば、ある時はことごとくうまく行かない日もあって、なぜそうなるのかはわからないけど、面白いものだ。

ちなみに、前述で触れた、「期が満ちる」ものと言えば月。折しもパン焼き前後は満月のタイミングで、何だかいい気分だったんだよね。

視力がよくなくて、月も縁がぼんやり見えてしまう私だけど、この日に限っては、それがまるで発酵して1.2倍に膨らんだパンの生地に見えて、一人思い出し笑いをしたのだった。

お月様、良き日をありがとう。

コメント

  1. みっつのデビュー、おめでとうございます。噛みしめるほど滋味が広がるのが伝わってくるような、おいしそうなパンが焼けましたね。初めてパンを焼いた(わたしの場合はインスタントイーストでしたが)時の心躍るわくわくした気持ちがよみがえってきました。わたしは天然酵母のパンがうまく焼けたことはまだないのですけれど、また挑戦したいと思いました。酵母起こしの過程も楽しいですよね!以前仕事をくびになった時、次の仕事がみつかるまでできる、なにか有意義なことはないものかと考えた時、ケーキや甘いものはごはんにならないけど、パンならごはんになるしやってみようかなくらいの気持ちでしたが、焼いてみるとこんなに楽しいことならもっと前にすればよかった!とYasukoさんと同じことを思いました。そして、毎日のようにこねて、焼いていましたが、あるときパンを投げる工程でひじをねじって痛めてしまい(しばらく治りませんでした)、それからホームベイカリーを購入して、それ以来、もっぱらHBばかりなのですが、それでもやはりパン作りは楽しく、大好きな時間のひとつです。Yasukoさんがインスタントイーストを使われるかわかりませんが、これはわたしのお気に入りのレシピのひとつです。見てみてくださいね!https://www.youtube.com/watch?v=ZtNHq6bl32o  Yasukoさんもひじには十分お気をつけてくださいね!

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    1. Takako-san,経験談とレシピありがとうございます!ああ、クルミ入りカンパーニュは私のツボ!大好き!これぜひ作りたいです。ただ焼き立てを食べたいって時HBは重宝しますね。全部手作りは、その過程自体を楽しむときにGood。ひじ、気を付けますね。確かにあんなに力がいるとは思わなかったので、、、。お互い楽しみましょう♪

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    2. そうですね!HBでそのまま焼いてもたぶんおいしいと思うけれど、HBは生地を作るためだけに使ってもすごく便利です。HBにおまかせしてできあがった生地を自分ですきなように形成してオーブンで焼くのがいいですよ!卵パン作ってたくさん食べてくださいね!

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    3. なるほど生地用にHB、目的に応じ部分的にも使えますね。そういう工夫がさらっと出来るようになるには、数こなさないと!そうそう、シンプルな小さめのパンでたまごパンも作ります!

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